KSP-1000A
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アンプ内蔵小型高音質スピーカ

KSP-1000A


 高音質アンプ内蔵の小型スピーカ。ホームオーディオやPC用のモニタースピーカが欲しい方、 ミニコンポ以上の高音質をPCで楽しみたい方に、パンチのある低音と澄んだ高音まで品質のたかい スピーカを提供いたします。
 内蔵アンプも高音質パワーアンプICをそれぞれのスピーカに内蔵しておりますので、 左右独立電源・独立アンプとなります。
 オールハンドメイドの高品質アンプ内臓スピーカをお楽しみください。

    


製作


設計コンセプト システム構成 スピーカ エンクロージャ アンプ 製作 試聴

設計コンセプト

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 最近ではPCミュージックはごく当たり前のものとなっています。また、パソコン用の スピーカも安価なものが多く発売されています。一方で、高額なオーディオも着実に進展 しているように思えます。
 しかし、高音質を狙いつつ、音楽を楽しむPC用スピーカは非常に数少ないの現状です。 安かろう悪かろうではなく、かつあまり高額ではない高音質スピーカはほとんど見たことが ありません。
 本スピーカは、PCがいわゆるステレオとして十分楽しめることを狙って製作しました。 基本的なコンセプトは以下の4項目です。

  1. 音楽を楽しむために十分高音質であること。小型モニタースピーカとしての性能を持つこと。
  2. PC用として使えるようにアンプを内蔵すること。
  3. 置き方に自由度があること。左右を入れ替えて使えること。
  4. デザインとしても飽きのこない高品質であること。

システム構成

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 基本コンセプトから、システム構成は以下のようになります。
  1. スピーカは、オーディオ用2wayスピーカとし、ネットワークもオーディオ用として 高品質なものとする(その辺のPCスピーカとは一線を画します)。
  2. エンクロージャは18mmパイン集成材を使用し、十分な補強を行い、高剛性を確保します。
  3. アンプは高音質で定評のあるナショナルセミコンダクタ社のLM-1875を使用する。
  4. 強力な電源を持ち、高音質を確保する(ACアダプタは使用しません)。
  5. あまり高額なオーディオ部品は使用せず、高音質・定価格を狙います。
スピーカのイメージとしては図1のようになります。2wayバスレフスピーカにアンプを内蔵した シンプルな構成です。
図1:スピーカイメージ

スピーカ

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 スピーカユニットは低価格ではあるものの、オーディオ用の品質の高いものを使用します。 いろいろと探した結果、ウーファーは、六本木工学研究所のケプラーコーンユニットを使用する ことにしました。コーン部が丈夫で、マグネットには空気抜き用の穴も開いており、ウーファーの 振動部が長いストロークに渡ってストレスなく動きそうです。口径の割りに押し出しの強い低音が 期待できそうです。ただ、マグネットは防磁タイプではありません。このウーファー、現在販売されて いないようです。代替品としては、TangBandのW5-1374SB(ポリプレピレンコーン)がお勧めです。 経験上、このスピーカの低音のパンチ力はぴか一です。
 次にツイータですが、ペアで1,593円という破格の安さのDAYTON Audioのネオジウムマグネットの ドームツイータを使用します。メーカのデータ上、結構暴れていて、かなりギスギスした高音に なるかと思いきや、結果として大変美しい音質でした。(音質については後述します)
 計算上の周波数特性は図2のようになります。あまり欲張らずにバランスの良い音を狙います。 ネットワークは4kHz 12dB/Oct です。自作では6dB/Octにすることが多いいのですが、位相回転や f特のフラット感から12dB/Octにしました。高域まで素直に伸びた特性です。

図2:周波数特性
※)ネットワークの回路図は図3を参照ください。

表1:スピーカ仕様
エンクロージャ 形式 2way バスレフタイプ 容量8L(有効容積6.5L)
クロスオーバー 4kHz 12dB/Oct
バスレフダクトφ38mm × 80mm
ウーファー 口径12cm
メーカー六本木工学研究所
型式RE-KV12PF
ツイータ タイプ3cm ドーム型(ネオジウムマグネット)
メーカーDAYTON Audio
型式ND16FA-6

エンクロージャ

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 スピーカの大きさは、PCの両サイドに置く、もしくは小型のブックシェルフとして 使いやすいサイズ、幅・奥行きとも20cm程度とします。補強材やアンプ部品を 差し引くと内容積は約6.5Lです。ユニットの配置はウーファーを中央に、バスレフポートと ツイータを上部、アンプコントロール部を下部に配置します。
 背面は、放熱用のアルミ板と入力ピンジャック、ヒューズ等を配置します。エンクロージャとしては、 図3のようになります。(※図3をクリックして下さい。)
 エンクロージャ材としては、このクラスのスピーカとしては非常に厚い、18mmのパイン集成材を 使用します。補強材も各隅に入れ、機密性、高剛性を確保します。バッフル面の両サイドは R18mmのラウンドバッフルとし、定材波を押さえます。
 このクラスのスピーカとしては、剛性も高く、重量あり、いわゆる本格ブックシェルフスピーカです。 スピーカのみとしても非常にクォリティが高くなっています。

図3:エンクロージャー図面

アンプ

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 アンプはLM-1875を中心としたシンプルな構成です。入力端子からLch/Rchを切り換えた後、 サージ保護フィルタ、ボリューム経由してアンプに入力します。アンプ回路は特別な 回路ではありません。ただし、部品の配置、パターン幅には注意します。
 出力はミュート回路を設け、電源が安定してから出力を接続します。ミュート回路 は、M51957を使用し、アンプ電源電圧をモニタして、安定したらリレーをONします。
 電源回路は、非安定、平滑コンデンサの電源ですが、平滑コンデンサに10,000uFの 大容量コンデンサを使用し、大きな出力にも高い安定度を確保します。

図4:アンプ回路図

製作

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スピーカの製作
 まずエンクロージャを製作します。1820mm × 200mm × 18mm厚パイン集成材を2枚使用し、 図5のように板取りします。次にバッフル版にウーファー、ツイータ、バスレフポートの丸穴、 アンプコントロール部の角穴をあけます。
 ツイータはあまった板材を60mm × 50mm程度に切り、それを台座として接着剤で貼り付けます。 スピーカケーブルを引き出す穴から空気が漏れないようにたっぷりと接着剤をつけます。 接着剤が固まったらバッフル板の裏側からツイータの台座を貼り付けます。
 バスレフポートは自作する場合、水道管用の継ぎ目パイプをそのまま利用できます。ポートは 余分な共振が起こらぬよう、ブチルゴムを巻きつけて接着します。なお、ポートの長さを調整 したい場合は、全て組み立てた後に接着します。
 ウーファーの固定には、木ネジではなく、つめ付ナットを使用し、強固にバッフル版に固定します。 また、ウーファーの背面にはブチルゴムを貼り付け、エンクロージャ内での余分な中高音の反射を 防ぎます。ウーファーの固定、ツイータの接着等もバッフル版の補強材となりますので、全てのユニットを バッフル版に固定すると共振しにくい強固なバッフル板となります。

図5:板取図


図6:ツイータ

図7:ウーファーブチルゴム

図8:バッフル版

図9:バスレフポート

アンプの製作
 アンプ、電源は左右のスピーカに1chずつ入れます。独立したモノラルアンプ・スピーカの 構成です。基板は、電源回路・アンプ合わせて1枚片面基板とします。表面実装部品はミュート回路の ごく一部に使用しているだけで、ほぼ全ての部品がリード部品ですので、部品の実装は特に 難しいことはありません。いも半田にならないように丁寧に半田付けしましょう。
 150mm × 200mm × 1.5mm厚のアルミ板をL字に折り曲げ、アンプ放熱器およびシャシーとして使います。 エンクロージャ裏板開口部の板にスリットを設け、加工したL字アングルを差し込みます。機密性を 保つために、内側に合成ゴム系の接着剤で空気漏れがないように塞ぎます。アンプ基板は裏板に固定し、 放熱器・シャシーはグランド線を接続します。
 トランス、電源スイッチ、ボリューム、入力切換スイッチはケーブルを半田付けしてからエンクロージャ本体に 直接固定します。これらの部品を固定した後、アンプ基板と接続します。下手にコネクタを使用するよりは 音質が良くなるはずですので、配線は基本的に全て直接半田付けします。
 最後に裏板は、つめ付ナットで空気漏れがないようにしっかりと固定します。

図10:アンプ基板パターン

図11:アンプ基板

図12:アンプ基板実装

図13:リアパネル

図14:フロントパネル

 アンプを実装したら、ウーファーの穴から吸音材を入れます。吸音材は、 アンプ基板、トランス等の部品を覆うこと、天板にも入れること、側板には 入れないこと、バスレフポートの邪魔をしないことに注意します。
 最後にウーファーを固定して製作終了です。

試聴・動作確認

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 いよいよ試聴です。PCのオーディオ出力を接続し、ボリュームを最小に絞った状態で アンプの電源を入れます。PCのオーディオを再生し、徐々にボリュームを上げていきます。
 なんということでしょう!大変すばらしい音楽が流れてきました。大成功です。!
 ポップス・ロック系は、ベースやベースドラムの音をしっかりと再生し、押し出し感も ばっちりです。高音は、シンセサイザーの高音の倍音成分まで過不足なく出てきています。 2wayシステムでは苦手と思われる女性ボーカルも奥に引っ込むことなく凛として前に出てきます。
 ジャズ系は、ウッドベースの押し出し感がすばらしい。また、シンバルもリアルに再生します。 こんな小さいアンプ内蔵スピーカなのに、ジャズを聴くのが楽しくなってしまいました。
 クラシック系も全く問題ありません。各楽器が明瞭に聞こえてくる上、音像の定位もばっちりです。 小型なためか、定位が非常に優れています。広がりのある音は広がって、絞るところは絞って再生 できています。

 PCがメインステレオになってしまいました。ここまでいい音を知ってしまったら、 もう普通に売っているPCスピーカは使えません。恐るべしPCサウンドです。 しばらくはメインステレオシステムとして使い続けます。


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