KCB-F1
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蒸気拡散機能付キッチンボード

【KCB-F1】

 電子炊飯器等の湯気を拡散する自動制御ファンを装着したキッチンボードです。炊飯器を 引き出したりすることなく、その場に置いたままでご飯を炊いても、自動的にファンが回り、 湯気を押し出します。
 キッチンボード本体は、パイン集成材を中心として構成されており、非常に丈夫です。 中央のボードには人工大理石を使用して、高い質感と堅牢さを両立しています。また、本体下部は 木製の野菜ストッカーとゴミ箱の収納となっており、使いやすさを追求しています。

   
    


製作記事

設計コンセプト
メインフレーム
コントローラ
製作:コントローラ
製作:メインフレーム
製作:野菜ストッカー


設計コンセプト

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 電子炊飯器でご飯を炊く時、どうしていますか? 湯気に困っていませんか?
炊飯器を手前に引き出していませんか?
場所をとられて、とっても邪魔ではありませんか?
そんな問題を解決するキッチンボードです。

 炊飯器や電気ポットは、炊き上げのもっとも火力の強い時にたくさん湯気をだします。 放っておくと、キッチンボードの中に水滴がいっぱいたまり、カビの原因にもなります。 吸湿性のあるボードを張り込んであるものも見たことがありますが、結局湿気(水分)が 減るわけではないので、カビの原因になります。
 たいていのキッチンボードは、炊飯器台が引き出し式になっており、炊く時は手前に 引き出し、湯気が天井まで昇るような状態で使うことを前提にしています。しかし、 引き出された炊飯器は非常に邪魔で、特にタイマ設定で炊飯する場合は、引き出したままに しておかなければならず、なんとも不便、不自然でした。
 大事なのは、炊き上げ時の湯気を拡散して吹き飛ばすことです。そうすれば、湿気がこもらず、 早く乾燥してカビの原因にもなりません。吸湿性の材料も必要ありません。炊飯器を引き出す ことなくその場で炊けます。
 さらに、キッチンボードとして実用性を重視して使いやすさを追求しつつ、ボードに人工大理石を 使用し、高品質に仕上げています。

  1. 自動で作動する蒸気・湯気拡散機能: 炊飯器、レンジ、コーヒーメーカ用等3箇所
  2. 最新の電子レンジもピッタリ納まる: 電子レンジを置いてもはみ出ない奥行き
  3. 高級仕上げ: 中央ボードに人工大理石
  4. ホットプレート収納: 最上段はホットプレートをそっくり収納
  5. 野菜ストッカー: 冷凍不要の野菜(ジャガイモやたまねぎ)を置ける高通気性木製ストッカー
  6. ゴミ箱収納: 2つのゴミ箱を収納でき、ごみ分別にも対応
さぁ、実用性の高いホンモノのインテリジェント家具の製作です!!


メインフレーム

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 まずはメインフレームの設計です。キッチンボードとして実用性が高く、使いやすく、丈夫で高品質な ボードというのは非常に難しいのですが、しっかりと使い方のイメージを持ちます。 コンセプトを実現するには、表1のような構成となります。
表1:メインフレーム構成
1段目(最上段) ホットプレート収納棚
2段目 コーヒーメーカを置いて、その場でコーヒーを立てることができる
3段目 中央ボード。炊飯器、電子レンジ等を置くことを想定した人工大理石ボード
4段目(下段)野菜ストッカー、ゴミ箱等を置く

このうち、最上段は薄く長い収納となるので、観音扉では使いにくいものなってしまいます。 そこで、跳ね上げ式の扉にします。
 2段目は、左右に分割して右側にコーヒーメーカ、左側に扉付収納とし、 カップや小道具の収納とします。左の扉は一般的なもので、兆番でとめます。
 下段は野菜ストッカーとゴミ箱を左右に配置します。 ゴミ箱の収納は、蓋付のゴミ箱もスッキリ納まる清潔感のある構成、野菜ストッカーは 実用上、3段は欲しいところです。
 これらを併せると、図1のようなイメージになります。高さは180cm、幅は約90cmです。 これだけの大きさになると、サイドのボードは強度が必要となりますので、24mm厚の 板を使用します。棚板の素材は全てパイン集成材を使用し、強度、木目の美しさを 活かします。

(※図1のイメージをクリックすると、メインフレームの寸法図面となります。)


コントローラ

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機能
 コントローラは、以下の機能を持ちます。
  1. ボード内各コンセントのマスタースイッチ
    キッチンボード内部3箇所に取り付けるコンセントの電源スイッチです。待機電流が流れる 家電製品でも完全に電源を切ることができます。日常生活上はこの電源スイッチはONのままで、 長期不在の時はこのマスタースイッチをOFFにすれば余分な電力は消費しません。 スイッチは2つ装備し、炊飯器用のコンセントと、コーヒーメーカ用のコンセントは一つに まとめています。

  2. 消費電力監視と蒸気拡散ファン駆動
    3箇所の各コンセントの消費電力をそれぞれ独立してモニターします。モニターの結果から 家電製品の状態を推定して蒸気拡散ファンをコントロールします。 炊飯器等は炊飯時、保温時で電力の消費パターンが複雑に変化しますので、電力のモニター 値をCPUでパターン認識して炊飯時か保温時かを判断します。
 全体の構成(ブロック図)を図2に示します。調理用の家電は消費電力が非常に大きいので、 2系統の電源系統となっています。このうち、キッチンボード左側(炊飯器用)とコーヒーメーカ、 拡散ファンコントローラで1系統、キッチンボード右側(電子レンジ用)で1系統となります。 また、ボードのコンセントはアース端子つきとします。
 内部は、消費電力モニター部、CPU部、フロントパネル部にわかれています。フロントパネルは FAN駆動状態を表すLEDと消費電力モニター回路(実際は使用しません)、家電タイプ切り換えスイッチ (これも実際は使用しません)で構成されます。
 電源はスイッチングタイプのアダプタを使用します。


回路
図2にコントローラの回路図を示します。(※図2をクリックしてください) CPU回路、電力モニタ回路、表示回路に別れており、基板も3枚構成です。

CPU回路
 CPU回路は作る-comで紹介しているアンプ・スピーカ内蔵コーナーラックKLK-C1のCPU回路・基板を そのまま流用しました。消費電力モニター用のAD入力3ch、ファン駆動用出力3ch、フロントパネルからの スイッチ入力3ch、LED出力3chの非常にシンプルな回路です。また、基板流用のためAD入力のうち 2/3chは単にポートを外に出しているだけの回路構成となりますが、ソフトウェアフィルタで 対応します。なお、使用しない部分は部品未実装とします。

電力モニター回路
 電力モニター回路は、3系統の電力モニタ回路とACアダプタ出力の平滑回路から構成されています。 電力モニター回路の電流センサーは、市販のトランスの1次巻き線をとりさり、開いた部分に 100Vのケーブルを1.5周巻きつけます。
 電流センサからの信号はコイルの誘起電圧になるので、これをオペアンプの差動入力に入力します。 ここでオペアンプの出力は、誘起電圧の振幅に依存したON/OFF出力 (電源周波数50/60Hzを基本周波数としたPWM出力)になります。この出力をローパスフィルタで 平滑化し、2段目のオペアンプに入力します。最終的に電流に依存した電圧出力が得られます。 この電圧をCPUのAD端子に入力します。

フロントパネル回路
 フロントパネルの回路は、LED、スイッチ、電力モニター感動調整用ボリュームをシンプルな 回路です。CPUボードからはCPUのポート出力になりますので、LED点灯用のドライブ回路は フロントパネル回路に入れます。スイッチは監視する消費電力のパターン選択用です(実際は 使用していません)。感度調整用のボリュームは電力モニター回路と接続します。


基板
 基板は全部で3枚です。(パターン確認用pdfファイル) いずれも基板パターン作成用フリーソフトPCBEで作成しました。 (pcbファイルはマウスの右クリック「名前をつけて対象を保存」を選んでください。)
  1. CPU基板 (pcbファイル)
    KLK-C1のCPU基板の流用です。詳細はKLCK-C1の紹介ページ をご覧ください。
  2. 電力モニター基板 (pcbファイル)
    電力モニター基板は片面基板です。実装密度はそれほど高くないので、自作することも十分可能です。
  3. フロントパネル基板 (pcbファイル)
    これも片面基板です。




ケース・パネル
 最後にコントローラのケースを設計します。
コントローラの全体構造は図3のようになります。リアパネルには、電源入力、キッチンボード内コンセント への電源出力、ファン駆動出力があります。フロント側は各電源スイッチ、LEDです。
内部は、左側に5V1A-ACアダプタと12V2A-ACアダプタを配置、中央にCPUボードと電源モニターボードを 配置します。
 フロントパネル、リアパネルの配置はそれぞれ図4、図5です。




製作:コントローラ

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 製作は、まずコントローラから始めます。

電流センサ
 電流センサはトランスを改造します。6V0.1Aの小型トランスの1次側巻線をほどいて取り去り、 そこに100Vのコードを2周巻きます。
非常に簡単で、以上で電流センサのできあがりです。なお、100Vコードは1700W可能なものを使用 してください。細いものを使用すると熱を持って危険です。

基板の製作
 基板はブルガリアの基板メーカOlimexに注文していますが、あまり細かいパターンではないので、 自分で作ることも可能です。自分で作る場合はガラスエポキシの感光基板を使用してください。
 基板への部品実装も特別なことはありません。表面実装部品、背の低い部品〜背の高い部品、 コネクタの順に半田付けを行っていきます。

図6:CPUボード 図7:電力モニターボード

実装・配線
 100V電源系の配線は3系統の電流センサや2系統の電源スイッチ等を経由するため、それなりに 複雑になります。端子台を使用してできるだけスッキリ収まるように配線します。
 ACアダプタはコンセントをつけてコントローラ内の左側に接着します。電力モニタボード、CPUボードは 図8のように配置してください。ボードの位置やACアダプタの位置に精度は必要ありません。 配線がきれいに収まれば問題ありません。

図8:コントローラ前面 図9:コントローラ背面


製作:メインフレーム

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素材・パーツ準備
 大型の家具では、24mm厚パイン集成材、18mm厚パイン集成材、ファルカタ材、 シナ合板、桧角材と木材だけでもいろいろな種類の木材を使用します。今回は木材に加えて 取っ手、兆番の他各種電気用の部材等多種多様なものが必要です。そのような大物家具をDIYで 製作する時のコツは、一気に図面通りに全ての素材・パーツを揃えてしまうのではなく、 作る部位毎に徐々に揃えていくことです。決して焦らず・急がず確実に作り上げていきましょう。
 もっとも重要なメインフレームを製作します。
詳細な設計図面は図10です(図をクリックしてください)。高さも奥行きもありますので、 棚板は2枚のパイン集成材を組み合わせて1枚の棚板にします。DIYのお店でよく材料を選定し、 できれば切ってもらいましょう。これだけの素材をのこぎり一本で切り出すのは大変です。
 素材がそろったら、棚板を作ります。ダボを使い、2枚のパイン集成材を1枚にします。 メインフレームの図面の中の3〜6です。張り合わせた部分は、通常、隙間が開いたり、 段差ができたりします。これを継ぎ目のない一枚板のように仕上げます。
  1. 図11:ダボ継ぎをする時は、木工用ボンドをつけた上で、木槌かゴムハンマーを使い、 あて木を当てて、叩き込みましょう。できるだけしっかり叩き込みます。
  2. 図12:ボンドが乾くと、すきまがあいているのが見えると思います。ここで、100番程度の 紙やすりで隙間の周辺をやすり掛けします。
  3. 図13:やすり掛けからでた木屑(粉)を使用して隙間を埋めます。この時、つまよう枝に木工ボンドを 付けて隙間に入れ、その上から粉を詰め込みます。そうすると、隙間が消え、1枚板のように なります。
⇒ ⇒
図11:ダボ 図12:継ぎ目の隙間 図13:仕上げ後の継ぎ目

塗装
 くみ上げた後に塗装すると、角の部分の仕上げができなくなるので、各パーツが準備できた段階で塗装します。 木目を活かしながら艶やかな質感を出すため、今回はチーク色の水性ウレタン系塗料を使用しました。
  1. 面取り:かんなや鉄工用のやすりを使って面取りをします。角の丸みも調整します。
  2. 下地準備:最初に100番程度、次に400番程度の紙やすりで全体を満遍なくやすりがけします。やすりがけの 面積が非常に広いので、サンダーを使用すると楽にできます。
  3. マスキング:貼り合わせ面にマスキングテープを貼ります。テープの位置決めの罫書き線は極力薄く、 かつ部分的にします。濃い線を引っ張ると塗装後も見えてしまいます。
  4. 塗装:最低3回、できれば5回程度重ね塗りしましょう。塗料が乾いたらやすり掛けしますが、1〜2回目までは 400番程度、3回目以降は800番程度、最後の5回目は1000番〜1500番程度でやすり掛けします。
  5. 仕上げ塗装:一番最後に塗装面を水平にし、塗料をかなり薄めてさらさらの状態にし、薄く塗り伸ばします。 やすり掛けはしません。さらさらの液体を水平面に塗ることで、液体自身の重さで綺麗な塗装面になります。

図14:塗装1回目


図15:塗装5回目

組み立て
 塗料が全て乾くと各パーツはとても艶やかで美しい仕上がりになっています。あとは順次 組み立てていきましょう。

メインフレーム内配線まで
  1. フレーム組み立て(図16)
    ダボ組みの部分は、当て木をして木槌かゴムハンマーで叩き込みましょう。全体を組み立てたら、 裏側にL字金具、T字金具をとりつけます。
    中央のボード上部は塗装していなくてかまいません。ここには最終的に大理石を張り込みます。 いろいろな板が組み合わされているので、この段階でかなり丈夫です。
  2. 裏板の張り込み
    フレームが完成したら裏板(5.5mm厚シナ合板塗装済み)を張り込みます。基本的に裏は見えない ので、木工ボンドをはみ出る位にたっぷりとつけてください。ボンドが乾くとキッチンボード 全体として非常に頑丈になっています。
  3. 蒸気拡散ファン、コンセントの取り付け
    ファンは、パソコンの電源用ファンを使用します。中央ボードの部分は120mmタイプ、2段目の ボードの部分には80mmタイプを取り付けます。位置を調整したから張り込んだ裏板に穴を開け、 フィルタとファンを取り付けます。
    コンセントは、中央ボードの真ん中と左側に一つずつ、2段目のボードに一つの計3個取り付けます。 なお、中央ボードのコンセントはアース線を取り付けることができるコンセントを使用します。
  4. 配線
    ファン、コンセントの位置、ケーブルの通し方を確認して穴を開け、配線を通します。外から 見えないように配線しましょう。

図17:2段目のファンとコンセント






図18:メインボードのファンとコンセント
図16:フレーム完成 図19:配線

大理石と扉の取り付け
  1. 大理石の貼り付け
    配線が完了したら大理石を調整します。中央ボードにはコンセントがまりますので、その部分を 削り取りとります。また、前部は丸みを持たせます。表面は耐水性の紙やすり1500〜2000番で 水を流しながらサンダーで丁寧に磨きます。仕上げは粒子の細かい研磨剤で磨くと表面がピカピカに なります。
  2. 2段目の扉の取り付け
    2段目の扉を取り付けます。2段目の扉は取っ手を付けないので、手がかかるように 加工します。扉のキャッチは磁石のものを使用します。
  3. ゴミ箱隠し扉
    ゴミ箱の扉も観音扉です。兆番と磁石キャッチを取り付けます。
  4. 跳ね上げ扉の取り付け
    最上段の扉は跳ね上げ式です。ボード内のスライドレールと扉を兆番でつなぎ、左右に扉が通る レールをつけます。最後に前に飛び出さないようにストッパをつけます。キャッチは他の扉と 同様、磁石キャッチを使用します。
図20:人工大理石ボードとコンセント 図21:2段目の扉 図22:観音扉
図23:跳ね上げ式扉

コントローラの取り付け
 最後にコントローラを取り付けます。出来上がったコントローラは、メインボードから出ている 吊り下げ式の柱に取り付けます。取り付けた後、背面の各コネクタにFAN1〜FAN3、3系統の 電源コンセントを接続します。また、野菜ストッカーの後ろに100V用電源コードを通します。 電子レンジ、炊飯器の電力をまかなうために、本キッチンボードでは電源コードは2系統使用します。
図23:拡散ファンコントローラ 図24:電源コンセント
コンセント2つとアース線を使用します。


製作:野菜ストッカー

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 最後に野菜ストッカーを製作します。3段分ですので、同じものを3個つくります。 通気性が最大になるように側面は角材を使用したスリット構造とします。 上部の桟は25mm角の角材、側面は10mm×30mmの角材を使用します。底板は390mm x 320mmの ファルカタ材を使用し、軽さと美しさを両立します。それぞれのパーツは木工ボンドと 木ネジを併用します。
 野菜ストッカーは直接食物が触れる部分になりますので、塗装はしません。全て木のままです。 組み立て後、ボンドが乾いたら一度よく洗っておきましょう。
図25:野菜ストッカー 図26:野菜ストッカー

これで製作は完了です。使いやすく、高品質でインテリジェントなキッチンボードです。
一味違うキッチンをどうぞ。。。





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